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城定監督『方舟の女たち』、いまおか監督『夫がツチノコに殺されました。』ほかピンク傑作選が一般上映

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城定秀夫監督らしいハートウォーミング作『方舟の女たち』(R-18タイトル『痴漢電車 マン淫夢ごこち』。監督作は100本目前!
 今年もテアトル新宿に心くすぐるピンク色の風がそよぐ季節が到来する。そう、ピンク映画の雄・大蔵映画の近年の珠玉作がR15作品として特集上映される「OP PICTURES+フェス2017」が7月1日(土)~6日(木)、7月8日(土)~14日(金)の13日間にわたって開催されることに。昨年より1か月早いけれど、ハズレなしの“天才映像職人”城定秀夫監督の新作『方舟の女たち』、異才・いまおかしんじ監督の『夫がツチノコに殺されました。』など、選りすぐりのピンク映画13本が日替わりで上映される見逃せないプログラムとなっている。  人気シリーズ『デコトラ・ギャル』や『エロいい話』などのエッチ系Vシネマでも名職人ぶりを見せている城定監督は、今年のピンク大賞最優秀作品賞&監督賞に輝いた七海なな主演作『舐める女』、昨年のピンク大賞優秀作品賞&新人女優賞を受賞した古川いおり主演作『悦楽交差点』をアンコール上映(参照記事)。どちらも「ピンク映画って、こんなに面白いんだ!」と喝采を送りたくなるハイクオリティーな作品。これまでピンク映画を喰わず嫌いしていた人は、ぜひものですよ。  城定監督の新作『方舟の女たち』は、銀行員(希島あいり)、図書館員(竹内真琴)、女刑事(松井理子)という見ず知らずの3人の女たちを主人公にした痴漢電車もの。男運のまるでない女たちの後ろに、サソリ(守屋文雄)と呼ばれる“痴漢の神さま”がそっと現われ、天才的かつ大胆なフィンガーテクで彼女たちをエクスタシーへと導いていく。女性人権擁護団体の関係者が見たら血管がブチ切れそうな設定だが、城定監督は殺伐とした朝の通勤電車を、人と人とが出逢い、袖触れ合う一期一会なファンタジー空間として描いている。城定作品に登場するのは、生きるのが下手な不器用な人間たちばかりだ。今回の城定ワールドでは、クライマックスに札束の雨が降り注ぐ。お金や世間の常識よりも、人間が生きていく上でもっと大切なものがあるんじゃないの。そんなことを思わせるエロくて、ハートウォーミングな75分間。やっぱ、城定作品はいいなぁ。  恵比寿マスカッツにも参加していたセクシータレントの希島あいりは、本作がピンク映画初主演。一本を基本3日間で撮り切るというハードスケジュールのピンク映画業界だが、女優として劇場映画に参加できることが希島はうれしかったそうだ。自己主張できないメガネ女子役の竹内真琴にも、天使として輝く場が用意されている。一見すると地味な女性や演技キャリアのないセクシータレントから素の良さを引き出してみせるのが、城定監督は本当にうまい。どんな女性も自慢の指技でイカせてみせる“痴漢の神さま”サソリとは、どんな女優も演出次第でキラリと光らせてみせる城定監督自身なのかもしれない。
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凉川絢音がツチノコと戦うブッ飛びドラマ『夫がツチノコに殺されました。』(R-18タイトル『感じるつちんこ ヤリ放題!』)。
 林由美香が主演したピンク映画不朽の名作『たまもの』(04)で知られる いまおかしんじ監督の大蔵映画での第2作目『夫がツチノコに殺されました。』は、いまおか監督が長年にわたって温めてきた企画。タイトルのまんま、“幻の珍獣”ツチノコに咬まれて夫が亡くなり、若くして未亡人となった園子(涼川絢音)の物語。あまりにも夫が残念な死に方をしたため、自暴自棄となった園子は自宅に篭って、パンの耳を齧るだけの生活を送っていた。たまたま求人募集していた場末のスナックで園子は仕方なく働き始めるが、そこは本番ありの連れ出しスナック。社会のどん底へと転げ落ちていく園子だったが、そんなどん底社会で様々なワケありな人たちと出逢う。社会の底辺で生きるダメ人間たちとのおかしな交流を、いまおか監督は愛おしく紡ぎ出していく。  いまおか監督の作品はどれも独特のユーモアを感じさせるが、青春Hシリーズ『川下さんは何度でもやってくる』(14)など若くして死んだ友人を仲間が弔うストーリーが度々描かれる。いまおか監督と仲の良かった呑み友達が素人童貞のまま亡くなったことがモチーフになっているそうだ。現実世界で死者を甦らせることは不可能だが、フィクションである映画の世界では自分の前から姿を消した大切な人にまた逢うことができる。いまおか監督が撮るコメディには、そんな切なさが付きまとう。おもろうて、やがて哀しき いまおかワールドなのだ。  本作の脚本を書いたのは、自主映画『まんが島』で今年監督デビューを果たした守屋文雄(参照記事)。城定監督の『方舟の女たち』では“痴漢の神さま”を演じ、本作ではツチノコハンター役も演じている。ピンク映画に出ているときの俳優・守屋文雄は、とても生き生きとしている。
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ノワール風な官能作『静寂(しじま)に抱かれる女』(R-18タイトル『人妻漂流 静寂のあえぎ』)。
 売れっ子オジサン俳優・川瀬陽太が主演した『犯る男』(15)が90分のロングバージョンに再構成された『犯る男 最終版』として今回上映される山内大輔監督の『静寂(しじま)に抱かれる女』もかなりの異色作だ。幼い娘を交通事故で失ったショックから言葉を発することができなくなった女(朝倉ことみ)が、男たちに翻弄されながらも図太く生きていく姿を描いたノワール調のロードムービーとなっている。全編にわたって台詞はほぼなし。会話がない分、女たちの喘ぎ声や腰づかいが印象に残る。今の時代にサイレントムービーさながらの無言劇が許されるのも、自由度の高いピンク映画ならでは。山内監督とのタッグ作が多い朝倉ことみには今年のピンク大賞主演女優賞が贈られ、本作はピンク大賞優秀作品賞との2冠に輝いている。  今年のピンク大賞監督賞ほか3冠を獲得した竹洞哲也監督の『初恋とナポリタン』はピンク映画のエロイメージからずいぶんと掛け離れたタイトルで、エロ描写も控えめ。地方都市でタウン誌の編集をしている桐子(辰巳ゆい)を主人公にした本作は、『SRサイタマノラッパー』(09)のホームタウンとして知られる埼玉県深谷市でロケ撮影されたもの。喫茶店で流れる「パッヘルベルのカノン」をきっかけに常連の男性客と親しくなる桐子、夫や不倫相手から「おい」「お前」と呼ばれることにげんなりしている人妻(加藤ツバキ)など、女性寄りの視点から描かれた非常にナイーブなドラマとなっている。城定作品でおなじみだった演技派女優しじみは、桐子の同僚役で好演&いい脱ぎっぷりを披露。イケてない地方都市在住のアラサー女子たちの『セックス・アンド・ザ・シティ』のよう味わいがある。  時代のトレンドとは逆行した世界だが、入場者のハートと下半身をじんわりと気持ちよくしてくれるピンク映画傑作選。テアトル新宿に通いたくなる夏フェスである。 (文=長野辰次)
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大人の恋愛に踏み出せない30女を主人公にした『初恋とナポリタン』(R-18タイトル『弱腰OL 控えめな腰使い』)。
『OP PICTURES+フェス2017』 7月1日(土)~6日(木)、7月8日(土)~14日(金)テアトル新宿にて上映 R15 (c)OP PICTURES ■上映作品 7月1日(土) 『出会っていないけど、さようなら』 2日(日) 『静寂(しじま)に抱かれる女』 3日(月) 『サイコウノバカヤロウ』 4日(火) 『私みたいな女』 5日(水) 『初恋とナポリタン』 6日(木) 『犯る男 最終版』 8日(土) 『静寂に抱かれる女』『出会っていないけど、さようなら』 『恋愛図鑑』『方舟の女たち』 9日(日) 『サイコウノバカヤロウ』『コクウ』 『プリンセス 甘く危険な休日』『夫がツチノコに殺されました。』 10日(月) 『私みたいな女』 『悦楽交差点』『舐める女』 11日(火) 『初恋とナポリタン』 『方舟の女たち』『夫がツチノコに殺されました。』 『私みたいな女』 12日(水) 『コクウ』 『舐める女』『悦楽交差点』 『静寂に抱かれる女』 13日(木) 『出会っていないけど、さようなら』 『プリンセス 甘く危険な休日』『方舟の女たち』 『初恋とナポリタン』 14日(金)『サイコウノバカヤロウ』 『夫がツチノコに殺されました。』『恋愛図鑑』 『コクウ』 ※上映時間や来場ゲストはHPを要チェック! http://www.okura-movie.co.jp/op_pictures_plus

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